○宝塚市障碍者差別解消に関する条例

平成28年12月20日

条例第38号

注 令和2年3月31日条例第6号から条文注記入る。

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 がいを理由とする差別を解消するための施策

第1節 普及啓発(第7条・第8条)

第2節 障碍を理由とする差別の解消のための手続(第9条―第13条)

第3節 宝塚市障碍を理由とする差別の解消に関する調整委員会(第14条)

第3章 宝塚市障害者差別解消支援地域協議会(第15条)

第4章 雑則(第16条・第17条)

第5章 罰則(第18条)

附則

全ての市民は、障碍の有無にかかわらず、基本的人権を享有するかけがえのない個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活が保障される権利を有しています。

宝塚市は、平成11年に「シンシアのまち宝塚」を宣言し、全国に先駆けて、身体障害者補助犬支援事業に取り組むなど、人にやさしいまちづくりを推進してきました。しかしながら、保育、教育、就労、医療、移動、生活環境、情報、防災など様々な場面で障碍のある人への差別が依然として存在しています。

ここに、宝塚市は、全ての市民が障碍を理由とする差別の解消に取り組むことにより、障碍のある人もない人も共に住みよいまち宝塚を実現するため、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、障碍を理由とする差別の解消に関して基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障碍を理由とする差別を解消するための施策を定めることにより、障碍を理由とする差別の解消を推進し、もって障碍がある者の人権を尊重し、障碍の有無にかかわらず、住みよい地域社会を実現することを目的とする。

(令2条例6・一部改正)

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 障碍者 身体障碍、知的障碍、精神障碍、発達障碍、難治性疾患その他の心身の機能の障碍(以下「障碍」と総称する。)がある者であって、障碍及び社会的障壁により、継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) 社会的障壁 障碍がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。

(3) 障碍を理由とする差別 障碍を理由とする不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮の提供をしないことをいう。

(4) 障碍を理由とする不当な差別的取扱い 客観的にやむを得ないと認められる特別な事情なく、障碍又は障碍に関連する事由により障碍者を区別し、排除し、又は制限すること、障碍者に条件をつけることその他の不利益な取扱いをいう。

(5) 合理的配慮の提供 障碍者が現に日常生活又は社会生活において、社会的障壁の除去を必要とすることが認識される場合において、当該障碍者が障碍者でない者と同等の権利を行使するため、その実施が相当と認められる範囲を超えた過重な負担を課すこととなるものを除き、必要かつ適切な変更、調整等を行うことをいう。

(6) 行政機関等 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)第2条第3号に規定する行政機関等をいう。

(7) 事業者 市内において商業その他の事業を行う者(行政機関等を除く。)をいう。

(8) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。

(令2条例6・一部改正)

(基本理念)

第3条 障碍を理由とする差別の解消は、全ての障碍者が障碍者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。

(1) 全ての障碍者は、社会を構成する一員として経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。

(2) 全ての障碍者は、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々との共生を妨げられないこと。

(3) 全ての障碍者は、言語その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会が拡大される必要があること。

(4) 障碍を理由とする差別の多くが、障碍及び障碍者に対する誤解、偏見その他の理解の不足から生じていることを踏まえ、全ての市民が障碍及び障碍者に対する知識及び理解を深める必要があること。

(5) 合理的配慮の提供は、障碍の特性並びに社会的障壁の除去が求められる具体的場面及び状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、障碍者が現に置かれている状況を踏まえ、双方の建設的対話による相互理解を通じて、代替措置の選択も含め、合理的な範囲で、柔軟に行われる必要があること。

(6) 差別を解消するための取組は、当該差別をした者を一方的に非難するのではなく、障碍の有無にかかわらず、共に学び合い、共に協力していくことを基本とすること。

(令2条例6・一部改正)

(差別の禁止)

第4条 何人も、障碍を理由とする差別をしてはならない。

(令2条例6・一部改正)

(市の責務)

第5条 市は、第3条に規定する基本的な理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障碍を理由とする差別を解消するための施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

(令2条例6・一部改正)

(市民及び事業者の責務)

第6条 市民及び事業者は、基本理念にのっとり、障碍及び障碍者に対する知識及び理解を深めるとともに、市が実施する障碍を理由とする差別を解消するための施策に協力するよう努めなければならない。

(令2条例6・一部改正)

第2章 がいを理由とする差別を解消するための施策

(令2条例6・改称)

第1節 普及啓発

(市民及び事業者への啓発)

第7条 市は、障碍及び障碍者に対する知識及び理解を深めることを市民及び事業者に求め、市民及び事業者が障碍を理由とする差別を解消し、合理的配慮の提供を円滑に行うことができるよう、その普及啓発を行うものとする。

(令2条例6・一部改正)

(職員研修)

第8条 (地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第3章の規定の適用を受ける市の経営する企業を除く。)は、障害者差別解消法第10条に規定する職員対応要領を定め、その適切な実施に関する職員研修を行うものとする。

第2節 障碍を理由とする差別の解消のための手続

(令2条例6・改称)

(相談)

第9条 障碍者、その家族又は支援者及び事業者は、市に対し、障碍を理由とする差別に該当すると思われる事案について相談することができる。

2 市は、前項の規定による相談があったときは、次に掲げる業務を行うものとする。

(1) 相談を受けた事案に係る事実の確認及び調査を行うこと。

(2) 必要な情報の提供を行うこと。

(3) 関係者間の調整を行うこと。

(4) 関係行政機関への連絡調整を行うこと。

3 市は、障碍者の権利擁護のために必要な援助を行う事業所に対し、前項各号に掲げる業務の全部又は一部を委託することができる。この場合において、市は、当該受託事業所と共同して相談業務を行うものとする。

(令2条例6・一部改正)

(助言又はあっせんの申立て)

第10条 障碍者、その家族又は支援者は、障碍を理由とする差別を受けたと思われる事案(行政機関等又は事業者が市内で行う事業におけるものに限る。以下「差別事案」という。)に関して、市長に対し、当該差別事案を解決するために必要な助言又はあっせんの申立てをすることができる。

2 前項の障碍者の家族及び支援者は、申立てをすることが当該障碍者の意に反することが明らかであると認められるときは、申立てをすることができない。

3 第1項の申立ては、前条第1項の規定による相談を経た後でなければ、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

4 差別事案が次の各号のいずれかに該当するときは、第1項の申立てをすることができない。

(1) 行政庁の行った処分の取消し又は変更を求めるものであるとき。

(2) 申立ての原因となる事実のあった日(継続する行為にあっては、その行為の終了した日)から3年を経過しているものであるとき(その間に申立てをしなかったことにつき正当な理由があるときを除く。)

(令2条例6・一部改正)

(調査)

第11条 市長は、前条第1項の申立てがあったときは、その申立てに係る事実について、必要な調査を行うことができる。この場合において、調査の対象者は、正当な理由があるときを除き、これに協力しなければならない。

(助言又はあっせん)

第12条 市長は、前条の調査が終了したときは、第14条第1項に規定する宝塚市障碍を理由とする差別の解消に関する調整委員会(同項を除き、以下「調整委員会」という。)に対して、当該調査の結果を添えて、助言又はあっせんの手続を開始するよう求めるものとする。

2 調整委員会は、前項の規定による求めがあったときは、次に掲げる場合を除き、助言又はあっせんの手続を開始するものとする。

(1) 助言又はあっせんの必要がないと認めるとき。

(2) 当該差別事案がその性質上助言又はあっせんをするのに適当でないと認めるとき。

3 調整委員会は、助言又はあっせんのために必要があると認めるときは、当該差別事案の関係者に調整委員会への出席を求め、意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

4 調整委員会は、助言又はあっせんの手続の開始後においても、第2項各号のいずれかに該当することが明らかになったときは、当該手続を中止することができる。

5 調整委員会は、第1項の規定による求めにより助言又はあっせんを行ったときは、市長に対して、その旨を報告するものとする。

6 調整委員会は、第2項各号のいずれかに該当するとして、助言又はあっせんを行わないときは、市長に対して、その旨を報告するものとする。

(令2条例6・一部改正)

(勧告及び公表)

第13条 調整委員会は、障碍を理由とする差別をしたとされる者が、正当な理由があるときを除き、前条のあっせんを受諾せず、又はこれを受諾したにもかかわらずあっせんに従わないときは、当該障碍を理由とする差別をしたとされる者に対して、必要な措置をとるよう勧告することを市長に求めることができる。

2 市長は、調整委員会から前項の規定による勧告を求められたときは、当該障碍を理由とする差別をしたとされる者に必要な措置をとるよう勧告することができる。

3 市長は、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ当該勧告を受ける者に対しその旨を通知し、かつ、その者に対し意見を述べる機会を与えなければならない。

4 市長は、第2項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。

5 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ当該公表に係る者に対しその旨を通知し、かつ、その者に対し意見を述べる機会を与えなければならない。

(令2条例6・一部改正)

第3節 宝塚市障碍を理由とする差別の解消に関する調整委員会

(令2条例6・改称)

(調整委員会)

第14条 市は、差別事案に関する申立てに係る助言又はあっせんを行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づく市長の附属機関として宝塚市障碍を理由とする差別の解消に関する調整委員会を設置する。

2 調整委員会は、委員7人以内をもって組織する。

3 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

4 この条例に定めるもののほか、調整委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、執行機関の附属機関設置に関する条例(昭和41年条例第1号)の定めるところによる。

(令2条例6・一部改正)

第3章 宝塚市障害者差別解消支援地域協議会

第15条 市は、障害者差別解消法第17条第1項の規定に基づき、宝塚市障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を設置する。

第4章 雑則

(施策の実施状況の確認及び評価)

第16条 市は、この条例に基づく施策の実施状況を確認し、及び評価した上で公表し、施策に反映するものとする。

2 市は、施策の実施状況の確認及び評価をするに当たっては、協議会において協議を行うものとする。

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に市長が定める。

第5章 罰則

第18条 第14条第3項に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(施行期日)

1 この条例は、平成29年1月1日から施行する。ただし、第10条から第14条まで及び第18条並びに附則第4項の規定は、平成29年7月1日から施行する。

(検討)

2 市長は、この条例の施行後3年を目途として、この条例の施行の状況、社会情勢の推移等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

3 市長は、前項の規定による検討を加えるに当たっては、協議会において協議を行うものとする。

(執行機関の附属機関設置に関する条例の一部改正)

4 執行機関の附属機関設置に関する条例(昭和41年条例第1号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和2年条例第6号)

この条例は、公布の日から施行する。

宝塚市障碍者差別解消に関する条例

平成28年12月20日 条例第38号

(令和2年3月31日施行)