○宝塚市男女共同参画推進条例
平成14年6月27日
条例第39号
女性差別撤廃条約の発効を大きな契機とする国際的な潮流の中で、我が国においては、女性の社会的地位向上を図る等、男女共同参画社会づくりに向けた取組により、男女共同参画社会基本法が制定された。
宝塚市においては、特に女性を取り巻く就労、子育てや介護等の問題の解決を図るため、活動の拠点施設の整備、提言活動を通じてまちづくりへの積極的な参画を目指した「女性ボード」の設置、女性施策の基本計画に基づく施策の推進、さらに、いち早く男女共同参画宣言都市となる等、男女平等の実現に向けた取組を積極的に進めてきた。
しかしながら、状況は少しずつ改善はしているものの、依然として性別による固定的な役割分担意識やこれに基づく社会慣行等が根強く残り、個人の能力が十分に生かされていない状況である。また、女性に対する暴力が、人権に関わる深刻な社会問題として顕在化しつつある状況もあり、いまだ多くの課題が残されている。
真の男女平等の達成を図るには、男女の人権が共に尊重され、一人一人の能力や個性が十分に発揮でき、あらゆる分野に対等に参画できて、それに伴う利益を共に享受でき、責任も共に担う社会の早期実現が求められている。
ここに、私たちは男女共同参画社会の実現を目指すことを強く決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、責任を共に担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 事業者 市内に事務所又は事業所を有する法人及び個人その他の民間の団体をいう。
(4) 性自認 自らの性別をどう捉えているかということをいう。
(5) 性的指向 恋愛感情又は性的関心がどのような性別に向かうかということ(恋愛感情又は性的関心を抱かないことを含む。)をいう。
(平31条例4・一部改正)
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画の推進を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、男女が、社会の対等な構成員として、市における政策又は事業者における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
5 男女共同参画の推進に関する取組は、国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、国際的協調の下に行われなければならない。
6 男女共同参画の推進は、男女が互いの性を理解し合い、妊娠、出産その他の性と生殖に関する事項に関し双方の意思が尊重されること及び生涯にわたり健康な生活を営むことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、男女共同参画の推進に関する施策を推進するに当たり、市民、事業者、国、他の地方公共団体及び関係団体と相互に連携と協力を図るよう努めるものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に寄与するよう努めるとともに、市が行う男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動に関し、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めるとともに、市が行う男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(権利侵害の禁止)
第7条 何人も、直接的であると間接的であるとを問わず、社会のあらゆる分野において、性別若しくは性自認又は性的指向による差別的取扱いをしてはならない。
2 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる場において、セクシュアル・ハラスメント(相手の意に反する性的な言動により相手方に不利益を与えること又は相手方の生活環境を害することをいう。)を行ってはならない。
3 何人も、家庭等において、配偶者等に対する身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為等を行ってはならない。
(平31条例4・一部改正)
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び暴力を助長する表現並びに性的感情を著しく刺激する表現を行わないよう努めなければならない。
(基本計画)
第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ市民の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるとともに、執行機関の附属機関設置に関する条例(昭和41年条例第1号)第1条に規定する宝塚市男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴くものとする。
3 市長は、基本計画を策定したときは、遅滞なくこれを公表するものとする。
4 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(財政上の措置)
第10条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(調査研究)
第11条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施するため、調査研究を行うよう努めるものとする。
(年次報告)
第12条 市長は、男女共同参画の推進に関する主要な施策の実施状況について、毎年、報告書を作成し、公表するものとする。
(家庭生活における活動と他の活動との両立の推進)
第13条 市は、男女が家庭生活における活動と職業生活における活動その他の活動とを両立することができるよう必要な措置を講ずるものとする。
(市民及び事業者の理解を深めるための措置)
第14条 市は、男女共同参画の推進について、広く市民及び事業者の理解を深めるため、広報活動その他の適切な措置を講ずるものとする。
(学校教育及び社会教育における取組)
第15条 市は、学校教育及び社会教育において、男女共同参画の推進に関する教育及び学習の推進に必要な措置を講ずるものとする。
(市民及び事業者の活動への支援)
第16条 市は、市民及び事業者が男女共同参画の推進に関して行う活動を支援するため、当該活動に必要な情報の提供その他の支援を行うよう努めるものとする。
(附属機関等における積極的改善措置)
第17条 市は、附属機関等における委員を委嘱し、又は任命する場合にあっては、積極的改善措置を講ずることにより、できる限り男女の均衡を図るものとする。
(事業者への働きかけ)
第18条 市長は、男女共同参画の推進に必要があると認めるときは、事業者に対し、職場その他の活動の場における男女共同参画の状況について報告を求めることができる。
(苦情申出への対応)
第19条 市長は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し、市民又は事業者から苦情の申出を受けた場合には、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市長は、必要があると認めるときは、前項の申出への対応に当たり、審議会の意見を聴くことができる。
(相談申出への対応)
第20条 市長は、性別若しくは性自認又は性的指向による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する人権の侵害に関し、市民又は事業者から相談の申出があった場合には、関係機関等と協力し、及び連携し、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
(平31条例4・一部改正)
(推進体制)
第21条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を円滑かつ総合的に企画し、調整し、及び実施するため、必要な体制の整備を図るものとする。
(委任)
第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、平成14年7月1日から施行する。
附則(平成31年条例第4号)
この条例は、公布の日から施行する。