○宝塚市民の文化芸術に関する基本条例

平成25年7月9日

条例第42号

注 令和2年3月31日条例第6号から条文注記入る。

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 市民及び市の役割(第4条―第6条)

第3章 基本となる施策(第7条―第13条)

第4章 推進体制(第14条・第15条)

附則

宝塚市は、武庫川の清流、六甲山系や長尾山系の山なみに象徴される豊かな自然環境に恵まれ、多くの人々が住まい、豊かな生活を営んできました。また、古来、人々の往来が盛んな街道の結節点であり、行き交う人々の交流の中から様々な文化が生まれました。それらは、市内各地に点在する多数の古墳や随所に見られる神社仏閣、風情あるまちなみなどの文化遺産として現在の暮らしの中に受け継がれています。

明治期に温泉街が、大正初期には宝塚歌劇が誕生し、観光のまちとして多くの人々を魅了してきました。そこに、阪神間モダニズムの一翼を担う、モダンで進取の気風に富んだ文化芸術が育ち、これらを愛する人々が移り住んできました。豊かな文化芸術環境の下で、多くの文化人、芸術家を始めとする創造者、制作者、技術者、研究者等を輩出しました。手塚治虫氏の漫画やアニメーション作品も、先進的で文化的な環境を抜きには語れないとされています。このように本市は、様々な文化が幾重にも積み重ねられた、全国に誇れる文化・芸術都市です。

文化芸術は、人々の創造性を育み、その表現力を高めるとともに、人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供しています。そして、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成し、世界の平和に寄与するものです。また、劇場、音楽堂などの社会的基盤は、文化芸術を通して人々が集い、人々が共に生きるきずなを形成する場です。さらに、人々の共感と参加を得ることにより「新しい広場」として、地域コミュニティの創造と再生を通じて、地域の発展を支える場となるものです。

現在も、本市は、市民が心豊かな生活を営み、住み続けたいと望むまちであり、また、多くの観光客が訪れる、魅力あふれるまちです。この環境を維持し、さらに発展させるためには、豊かな文化芸術を継承し、育成することが欠かせません。

ここに、宝塚市は、文化芸術の持つ重要性に鑑み、市民と市の協働の下、積極的にその振興に努め、文化の薫り高いまち宝塚の実現を目指してこの条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における文化芸術の振興に関する基本理念を定め、市民及び市の役割を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図り、もって心豊かな市民生活の向上及び文化の薫り高いまちづくりに寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 文化芸術活動 文化芸術を享受し、創造し、又は発信することをいう。

(2) 市民 本市に在住し、在勤し、又は在学する個人及び本市を拠点として活動する法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 文化芸術の振興に当たっては、市民が持つ自主性及び創造性並びに文化芸術が持つ多様性が尊重されなければならない。

2 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術活動が市民の権利であることに鑑み、市民が文化芸術活動を等しく行うことができるよう配慮されなければならない。

3 文化芸術の振興に当たっては、これまで育まれてきた文化芸術を市民の共通の財産として受け継ぎ、発展させるとともに、新しい文化芸術が創造されるよう配慮されなければならない。

4 文化芸術の振興に当たっては、将来の世代も含む長期的な視点に立って行われるよう配慮されなければならない。

5 文化芸術の振興に当たっては、市民及び市がそれぞれの役割に応じて取り組むとともに、相互に連携し、及び協働して行わなければならない。

第2章 市民及び市の役割

(市民の役割)

第4条 市民は、自らが文化芸術活動の担い手として、又は支援者として、様々な文化芸術活動に関わることにより、文化芸術の振興に努めるものとする。

2 市民は、文化芸術が人々の交流の中から生まれ、文化芸術活動が地域コミュニティの発展を支えるものであることを踏まえ、相互に理解し、尊重し、交流を深めることにより、文化芸術の振興に努めるものとする。

(市の役割)

第5条 市は、第3条に規定する基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

2 市は、市の施策の実施に際して、文化芸術的な視点を取り入れるよう配慮するものとする。

3 市は、組織横断的な連携を図り、職員を育成するなど必要な体制を整備し、文化芸術の振興に関する施策を効果的かつ継続的に実施するよう努めるものとする。

4 市は、文化芸術の振興に関する施策の策定及び実施に当たっては、市民の自主的な文化芸術活動の内容に干渉することがないよう十分に配慮しなければならない。

(財政上の措置)

第6条 市は、文化芸術の振興に関する施策を効果的かつ継続的に推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

第3章 基本となる施策

(文化芸術活動及び交流の場の整備)

第7条 市は、市民が自主的かつ創造的に多様な文化芸術活動に取り組むことができる場の整備に努めなければならない。

2 市は、文化芸術活動を通じて市民が相互に交流することができる場の整備に努めなければならない。

(子ども、高齢者及び障がい者の文化芸術活動の充実)

第8条 市は、子どもの文化芸術を享受する能力を高め、かつ、心身の豊かな成長及び人格の形成を促進するための施策を講ずるよう努めなければならない。

2 市は、高齢者及び障碍者が行う文化芸術活動の充実を図るための施策を講ずるよう努めなければならない。

(令2条例6・一部改正)

(文化芸術交流)

第9条 市は、国内外の人々が本市の文化芸術に関心を持ち、市民と国内外の人々が互いの文化芸術に理解を深め、交流が促進されるよう必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(文化遺産の活用等)

第10条 市は、文化財その他の文化遺産の活用を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

2 市は、伝統芸能の継承及び発展を図るため、その活動及び鑑賞の機会の提供その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

3 市は、宝塚らしい文化芸術環境と調和のとれた都市景観の保全及び形成を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(文化芸術活動に関わる人材の育成)

第11条 市は、文化芸術活動を牽引する人材の育成に努めるものとする。

2 市は、前項の人材の育成に当たっては、文化芸術活動に関する専門的な知識、技術、経験等を有する者及び大学等の教育機関その他の団体との連携を図るよう努めるものとする。

(専門的団体の育成)

第12条 市は、文化芸術活動に関する専門的な知識、技術、経験等を有する団体の育成に努めるものとする。

(調査、研究等)

第13条 市は、文化芸術の振興が効果的に行われるよう、市民と協働して、文化芸術に関する調査及び研究を行うとともに、情報の収集に努めるものとする。

2 市は、市民の文化芸術への理解又は関心を高めるため、市民と協働して、文化芸術に関する情報の提供に努めるものとする。

第4章 推進体制

(基本計画の策定)

第14条 市長は、文化芸術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、文化芸術の振興に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定する。

2 市長は、基本計画の策定に当たっては、執行機関の附属機関設置に関する条例(昭和41年条例第1号)第1条に規定する宝塚市民文化芸術振興会議の意見を聴かなければならない。

3 市長は、基本計画の策定に当たっては、あらかじめ市民の意見を反映するため、必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は、基本計画を策定したときは、遅滞なくこれを公表するものとする。

5 前3項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(宝塚市民文化芸術振興会議)

第15条 宝塚市民文化芸術振興会議は、次に掲げる事項を担任する。

(1) 基本計画の策定及び変更に関して意見を述べること。

(2) 文化芸術の振興に関する施策に関して意見を述べること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、文化芸術の振興に関する重要事項について、必要に応じ市長に意見を述べること。

(施行期日)

1 この条例は、平成25年9月1日から施行する。

(執行機関の附属機関設置に関する条例の一部改正)

2 執行機関の附属機関設置に関する条例の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(令和2年条例第6号)

この条例は、公布の日から施行する。

宝塚市民の文化芸術に関する基本条例

平成25年7月9日 条例第42号

(令和2年3月31日施行)